互いの想い〜その後に〜










寝室へ戻った二人は、服を着替えた。
そして、すぐにベッドに入る。
しばらくすると、静かな寝息が聞こえてきた。

(もう寝ちゃったんだ・・・)
そう、イオは寝てはいなかった。
いや、眠れないと言ったほうが正しいのだが。
そっと、ルカの頬に手を添えて、少しだけなぞってみた。
ルカは反応しない。
どうやら、本格的に寝入っているらしい。
イオは小さなため息をついた。
自分もこのくらいぐっすり眠りたい。
けれど、そんなに眠れた事など、ここ最近ない。
ぼぅっとしながら、さっきまでの出来事を思い出す。
ひさしぶりに素直になれた気がした、そんな夜だった。
ここにきてから、心穏やかな日々を送ることができるようになったと思う。

あの戦いが終わった後、一人で街を出た。
もうきっと、誰とも心を通わせることなど、できないと思っていた。
それが、ルカに出会って・・・ここで暮らすようになって・・・



――――――そして彼を求めるようになった。



ルカも自分を求めてくれていた事に気づくまで、いろいろあったけれど。
'ルカ'という大切な存在を手に入れた。


きっと受け入れてもらえないと思っていた想いが通じて。
この暖かみを手に入れることができて。
とても嬉しかった・・・



嬉しくて、嬉しくて――――――恐い。



今の自分は、このぬくもりに頼りすぎている。
もし、いつかこの手がなくなったら・・・
自分は生きていけるのか?
今までと同じように?
きっとできない。
一人になってしまったら、生きていけない。
この人を失うことが恐くて恐くて、たまらない。
こんなこと、今考えたってしょうがないのに。
こんな事考えている事、ルカが知ったら、きっと鼻で笑われてしまうだろう。
俺は死なん、と怒るかもしれない。



だけれど。

いつか別れが来るのだ。
自分は不老の体をもつ身。
彼はいつか必ず死ぬのだ。

自分を置いて。

それは紛れもない事実。



いつか必ず来る別れを考えたくはない。
でも、考えてしまう。
体の熱が一気に引いた気がする。
体が震え始めた。




その時。




イオの体が思い切り抱きしめられた。
その腕は、ルカのもの。
でもルカは眠っているはず。
顔をあげて、確かめてみるが、起きた気配はない。
それでも、腕の抱きしめる力は変わらずに残っている。
不思議だった。
けれど、なんだかルカが'大丈夫だ'と言ってるようで・・・
その腕が、ぬくもりが、とても安心できた。
今までの不安が嘘のように消える。



今なら、眠れるような気がした。
イオは、自分の額をルカの胸に押し付けるようにして、ささやく。
「おやすみ、ありがと。」





イオが本当に眠った後。
「やっと眠ったか・・・」
ルカは呟く。
きっと悪いことを考えていたのだろう。
ルカにはわかる。
だが何とか眠れたようだ。

(お前はいつでも考えすぎる。)

だからこそ、自分の前では、楽にしてやりたい。
イオに自分のぬくもりが伝わるように、そっと抱きしめた。




      end

今回はいつもより短めなはずなのですが・・・
如何だったでしょうか。
坊ちゃんの悩む姿を書きたかったのですが、なーんかうまくいきませんねぇ。
とりあえず、大人なルカ様が結構気に入ってます。



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