See bad










「ルーカ!!」
という声と同時に、衝撃を受ける。
眠っていたところにいきなりの衝撃で、ルカは飛び起きた。
「な、なんだ!?」
全くもって訳がわからず、周りを見回す。
と、自分の腹の上に、イオが満面の笑みで乗っかっているのが見えた。


「・・・貴様は〜〜!!普通に起こせんのか!?」
自分の上にかかっていた布団を捲り上げる。
「うひゃあ。」
ころりんと転がって、イオは床に落とされた。
しかし、上手く着地しているので全くダメージは受けておらず、
「んもー、ひどいなあ、ルカったら!」
なんて、相変わらずの笑みで言っている。
「・・・。」
ルカは、イオを一瞥しただけでベッドを降りた。
こういった顔をするイオの相手はしない方が良い。
それはイオとのしばらくの付き合いの中で分かってきたことである。
「ねえ、ルカってば。」
全くの無視を決め込み歩くルカの裾をくいくいと引っ張るイオ。
どうせしばらくほおって置けば収まるだろう。

ルカは無視し続けたまま、自室を出るのであった。





「ルーカーってば〜。」
「・・・。」


そろそろ太陽が真上に来ようかという頃になっても、イオは諦めなかった。
今ははっきり言って根比べになっている。
しかし、自分の気を引くため机の上に乗って、しかも書類の上に座り込まれるのはものすごく邪魔で。
はぁ〜・・・と、大きくため息をついて、ルカは口を開いた。
「一体なんなんだ?今日は。」

「海いこっ!」

にぱっと笑いながらのイオの提案は、ものの1秒で却下された。
「そんなヒマはない。」
書類を手に持ち、そちらに目をやる。
「何でさ!?君皇子なんだからヒマぐらい作れるでしょ!?」
ばん、と机に両手を叩きつけて、イオはルカを睨んだ。
「俺は行きたくない。」
こちらを向くことすらせずにルカは答える。
「行きたい〜!」
「行かん!」
「ルカってば、僕の水着姿見たくないの!?」
「うっ!」
2人が見つめ合う・・・というか睨みあったまま、しばらくの沈黙。
「い、行かんぞ!」
思い切り間を空けた後、思い切り悩んだような声を絞り出した。
「・・・・・・」
イオはじと目でルカを見つめる。
「な、何を見ている?」


「・・・・いいよ、もう。」
ふいっとイオの顔がそらされた。
ルカがその言葉を聞いて、ほっとしたのもつかの間。
「無理やりにでも連れて行くから♪」
そして同時に腹へイオ愛用の棍が直撃。
崩れ落ちるルカが最後に見たのは、満面の笑みを浮かべるイオの顔だった・・・





「・・・(怒)」
ルカは思い切りむっすりとした顔つきでビーチに寝転んでいた。
それはそのはず、いきなり腹を殴られ、気がついたら海に来ていたのだ。
(狂皇子たるこのオレが、何たる失態・・・)

いや、確かにイオの水着姿を拝めたのはありがたかったと言えよう。
どこから持ってきたのか、イオはビキニの水着を着ていた。

涼しそうな水色と青のボーダー柄で、かなり似合っている。

適度に可愛らしく、どこか清楚な雰囲気を醸し出す・・・

かと言って、全く色気がないわけでもない。


正直、その姿を見せられた時は一瞬怒りを忘れそうになった。
しかし、それで許してしまうようでは・・・

(許してしまうようでは、ただのバカではないか!!)


一方、連れてきた張本人は、こちらもつまらなそうな顔を浮かべていた。
「ねぇ、ルカ。勝手に連れてきたのは謝るからさー、遊ぼ?」
先程からこうやって声をかけているのだが、ルカは一向に動こうとしない。
もう、とイオがいきなり浜辺に走り出した。
それを横目で追っていたルカだったが、きっと1人で遊びに行ったのだろうとほおって置く。
ところが、ごろりと寝返りをうった拍子に、イオの叫び声があがった。


「ひゃあ!?」


余裕のないイオの叫びにルカは飛び上がり、声の方を見る。
腰のほどまで海に浸かったままのイオ。

そして、その目の前にクラゲ・・・にしてはあまりにも大きな物体が立ちはだかっていた。


姿形はどう見てもクラゲなのだが、大きさがでたらめすぎる。



「チッ!」
とにかくイオを助けねば、とルカは海へ入っていった。
「ルカ!」
「お前が下がっていろ!」
イオとクラゲの間に入り込むと、持ってきた剣でクラゲに攻撃を加える。



「頑張れルカーvv」
少し離れた位置でルカを見守るイオから声援が飛ぶ。
もちろんルカも潰すつもりでかかっているのだが。
相手はクラゲ、何とも手ごたえがない。
うねうねと動く手足は、四方八方からでてきては邪魔をする。
それを払いのけるのがやっとでなかなか中心に剣をぶつけることができないでいた。
「くそっ!!」
しばらくルカと、クラゲの手足の格闘が続いた。


が、突然クラゲの体の部分が移動し始めた。
そう、イオに向かってである。
手足をなぎ払うことに意識を集中させていたルカは、一瞬反応が遅れた。
「イオ!!」
きょとん、とこちらを向いているイオ。
(だから下がっていろと言ったんだ。ばか者!)
心の中で悪態をつきながら、ルカがイオに歩み寄っていく。
しかし、クラゲの足が邪魔で上手く進めない。
そして、クラゲの本体がイオを襲う―――
「逃げ・・・・」



「えいv」



軽やかな掛け声と共に、クラゲの体が吹っ飛ぶ。
「・・・ろ?」
一瞬、何が起こったのか理解できず、ルカの間抜けな声があがった。
よく見ればイオの手には愛用の棍。
そしてその遥か彼方の海に沈んでゆくクラゲの姿が見える。


つまり。


イオはクラゲを一発で倒してしまったのである。





「あれ?ルカどうしたの?」
膝をつき、両手をつき、ルカは打ちひしがれていた。
なんともいえない感情が胸を支配している。

(お、オレが・・・こんなに苦労して・・・あいつは一発・・・・!?)



この日一番の衝撃を受けたルカであった―――





「なあクルガン?」
「なんだ?」
ある日の鍛錬場である。
「何で、うちの大将はあんなに熱心になってんだ?」
シードは首をかしげながら隣に問うた。
「さあな・・・」
そこにはわき目も降らず剣を振るう彼らの大将と。
その隣でつまらなそうな顔をするイオの姿があったそうだ。





end

戯れです。お許しを・・・!!
えー、リクエスト作品その3、ルカ坊で海水浴。
口約束だったものだから、きちんとリクに沿えてるか謎なんですけども。
もう、後半どうしてよいか分かりませんでした(涙)
とりあえず一生懸命クラゲと戦うルカ様と、
一発で倒しちゃったイオを書いてみました。
ほんとーに、何が書きたかったかナゾな作品(笑)
ね、熱のせいって事で・・・ダメですか?




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